花粉症の鼻症状の中でも特に辛いのが**鼻づまり(鼻閉)**です。鼻水やくしゃみは飲み薬で比較的コントロールしやすいのですが、鼻づまりは薬が効きにくいことも多く、夜眠れなくなる方もいます。
そんな鼻づまりに直接アプローチできるのが点鼻薬です。しかし「ステロイドは怖い」「点鼻薬は癖になる」など誤解も多いのが現状です。この記事では点鼻薬の種類・安全性・正しい使い方をわかりやすく解説します。
花粉症に使われる点鼻薬の種類
1. ステロイド点鼻薬
花粉症の鼻症状(鼻水・くしゃみ・鼻づまり)全体に対して最も効果的とされるのがステロイド点鼻薬です。鼻粘膜の炎症を根本から抑えることで、くしゃみ・鼻水・鼻づまりのすべてを改善します。
市販品の代表例:
- フルチカゾンプロピオン酸エステル(フルナーゼ点鼻薬):1日2回使用、添付文書の用量を守れば市販で使用可能
- ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(ナザールAR 0.1%):日本初の市販ステロイド点鼻薬
処方薬の代表例:
- フルチカゾン(フルナーゼ処方用)、モメタゾン(ナゾネックス)、**ブデソニド(リノコート)**など
「ステロイドは危ない」は誤解
ステロイド点鼻薬を怖がる方が多いですが、これは**「内服(飲む)ステロイド」の副作用イメージ**が混同されているためです。点鼻薬は鼻粘膜にのみ作用し、血液中への吸収はわずかです。現在処方されているステロイド点鼻薬の全身への影響は、きわめて小さいと考えられています。
2. 抗ヒスタミン点鼻薬
ヒスタミン受容体をブロックすることで、主に鼻水とくしゃみを抑えます。ステロイド点鼻薬と比べると鼻づまりへの効果は弱めですが、即効性があります。
代表的な成分・製品:
- ケトチフェン(ナザールAGなど):抗ヒスタミン作用+肥満細胞安定作用
- クロモグリク酸ナトリウム(インタール点鼻液):処方。肥満細胞安定薬として予防的に使用
3. 血管収縮剤(ナファゾリン・オキシメタゾリンなど)
鼻粘膜の血管を収縮させ、鼻づまりを素早く解消するタイプです。「通り鼻薬」として即効性があり、使った直後から鼻が通ります。ただし、アレルギーの原因に働きかけるものではなく、対症的な効果です。
3種類の点鼻薬を比較
| 種類 | 主な効果 | 即効性 | 連続使用 | 市販 |
|---|---|---|---|---|
| ステロイド点鼻薬 | 鼻水・くしゃみ・鼻づまり(全症状) | 数日〜1週間で効果 | 長期使用可(医師指示のもと) | あり(一部) |
| 抗ヒスタミン点鼻薬 | 鼻水・くしゃみ | やや速い | 可 | あり |
| 血管収縮剤 | 鼻づまり(即効) | 非常に速い | 3〜5日まで | あり |
点鼻薬の正しいスプレー方法
点鼻薬は正しく使わなければ効果が十分に出ません。以下の手順で使用してください。
ステロイド・抗ヒスタミン点鼻薬の使い方
- 鼻をかんで鼻腔内をきれいにする
- ボトルをよく振る(懸濁液タイプの場合)
- 片方の鼻を押さえ、もう片方の鼻腔にスプレーする
- スプレーする向きは**鼻腔外側の壁(鼻中隔を避ける)**に向ける
- 噴霧と同時に軽く息を吸い込む(吸いすぎると薬が喉に流れる)
- 口から静かに息を吐く
使用後のケア
使用後はノズルをきれいに拭き、キャップをして保管します。家族と共用せず、1人1本が基本です。
鼻づまりへのアプローチ:点鼻薬だけでなく複合対策を
鼻づまりには点鼻薬が有効ですが、それだけに頼るのではなく、複合的な対策がより効果的です。
- 鼻洗浄(ハナクリーン等):花粉を物理的に洗い流す
- 飲み薬(抗ロイコトリエン薬):鼻づまりを改善する内服薬を処方してもらう
- 加湿と室内環境の整備:乾燥した空気は鼻粘膜を刺激する
市販のステロイド点鼻薬を使う際のポイント
2023年以降、日本でもフルチカゾンプロピオン酸エステル配合の市販点鼻薬(フルナーゼ点鼻薬など)が利用できるようになりました。市販ステロイド点鼻薬を使う際のポイント:
- 使用開始は花粉シーズン前が理想:シーズン前から使い始めることで予防的に鼻粘膜の炎症を抑えられる
- 用法・用量を守る:1日の使用回数や1回の噴霧数は添付文書に従う
- 改善がない場合は受診:2週間使用しても効果がなければ耳鼻科へ
まとめ
鼻づまりをはじめとした花粉症の鼻症状には、ステロイド点鼻薬が特に効果的です。「ステロイドは怖い」というイメージは点鼻薬においては当てはまらず、適切に使用することで安全に症状をコントロールできます。
一方、血管収縮剤は即効性がある代わりに長期使用はNGです。3〜5日を超えて使う場合は、ステロイド点鼻薬への切り替えや耳鼻科受診を検討してください。
飲み薬との組み合わせや根本的な治療については、花粉症で病院に行くタイミングや舌下免疫療法の記事も参考にしてください。
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療アドバイスに代わるものではありません。具体的な治療については医師・薬剤師にご相談ください。


